瓦屋さんの日常 下地新調

2022年12月27日

「瓦の葺き替え作業」において、既存の屋根下地の状態が悪い場合は、「下地新調」という仕様を採用します。今回は、「下地新調」について触れたいと思います。

今日は、天候に恵まれ、瓦の葺き替え作業。今日の案件は、下地も新調する仕様です。

すごい埃で、みんな顔が真っ黒になります

瓦をはぐって、「のしふき」「小舞」と順に、はぐっていきます。最初の工程なので、大体朝一番の作業。大きな音も立てないようにしたいのですが、ダンプに瓦を投下する音はどうしてもびっくりされるかも…廃材もできるだけ、周囲にまき散らさないようにそっとはぐっていきます。

今回は、「たるき」も新調する仕様なので、写真のようにすっきりと解体します。屋根を地面から正面に見て、左右の方向を「桁行・けたゆき」前後の方向を「梁間・はりま」と呼んでいます。「桁行方向」の横架材を上から順に、一番頂点の横架材を「棟木・むなぎ」写真では真ん中の2列を「母屋・もや」軒先の横架材を「軒桁・のきけた」と呼んでいます。

「たるき」を取り付けていきます。豪雪地帯という事で「たるき」も通常より太いたる木を使用しました。

「母屋」などの横架材は、今でこそキッチリ製材されていますが、古い案件ではそうはいきません。「たるき」の下に、パッキンを入れたり、横架材をノミで削ったりして高さを調節します。9月18日付ブログで紹介させて頂いた「2分の小舞」が早速役に立っています。

屋内に、養生の為のシートを設置しました。少しだけそうじが楽になります。

写真のお父さんは、お手伝いに来ていただいた、いつもお世話になっている大ベテランの大工さんです。

「棟木」は特に念入りに糸を張って調整。

「軒桁」と「たる木」の隙間をふさぐ、「面戸板・めんどいた」と呼んでいる部材です。スズメなどが侵入するのを防ぎます。ちなみに、「たるき」などは、写真のように建築でよく使われる、四角い孔のビスで留め付けます。「軒桁」はほぼ丸太ですね…丁寧な作業により、軒先がまっすぐきれいに揃って嬉しいです。

今日は、屋根の半分まで。8時から作業を開始して、下地までで16時頃までかかりました。「たる木」まで交換してしまえば「野地板」を張るのはあっという間です。明日は、反対側を施工します。

天気予報では、雨は降らない予報でしたが、念のため下葺き材まで張って仕事終了。これで、雨漏りの心配もなく、安心して帰れます。辺りはすでに真っ暗になってしまっていて、近隣に皆様には大変なご迷惑をおかけしてしまいました。従業員の皆さんには、遅くまで作業してもらって感謝です。