取り合い その2

2024年12月24日

先日、市街地にある案件で、屋根の点検をしてきました。

その案件での体験を基に、市街地で良く見られる問題点についてお話したいと思います。

弊社では、異なる部位との接続面を「取り合い」と呼んでおり、赤くマークした部位が「隣家との取り合い」になります。

「棟部」から「軒先」にかけて「冠瓦」が施工してあり、このような仕様を「下がり○○」と呼んでいます。○○には「冠瓦」の仕様名を入れており、今回は「平冠」と弊社では呼んでいます。

「金属板」は「瓦」の上が適当ですね

「大棟」と「下がり平冠」との「取り合い」です。

残念ながら「金属板」と「冠瓦」の位置関係が逆で、雨水が「冠瓦」の内部に入る形になっています。

赤い矢印部分から雨水が侵入します

「下がり冠」は、瓦の幅寸法が足りない時などに、開口部分を塞ぐ目的で施工されますが、カバーが不十分だと、雨漏りの原因となります。

施工の際には、防水をしっかりと確保した下地から施工します。

しっかりと開口部分をカバーする施工が大切です。

瓦の色が変わっている部分があります。

これは使用不可の瓦は交換したことに加え「幅の広い瓦」を新しく葺いて開口部分を小さくする工夫をしたためです。

隣家との「取り合い」が「外壁」と一体になっている場合も多くあります。

右側の案件で、雨漏りがするとの事で、点検に伺いました。

「外壁」と「瓦葺き」部分との接続面で施工されている板金部材を「アオリ」と呼んでいます。

「青」が水の流れで「赤色」は、雨水の侵入が疑われる部位です。

外壁に吹き付ける雨風の対応がメインになります。

天井に点検口が無かったので「下地」を取り外して確認しました

内部から確認してみました。「アオリ」のみの施工で、隙間が良く見えます。

特に「粉雪」が、天井裏に吹き込んで濡らすことが良くあります

暴風雨や吹雪の際には、吹き込む事が容易に想像できますね。

「アオリ」を取り外してみました。

内部が良く見えます。

隙間風が吹き込んでいました

隣家との開口は解体したわけではなく、前述と同じように「アオリ」のみ施工した状態で、空洞でした。

加えて、赤い矢印の部分は「小舞(こまい)」と呼んでいる下地材が黄色で示した「垂木(たるき)」と呼んでいる角材より「ハネ出して」施工してあるので、強度がとても弱いです。

このような部位では必ずオレンジ色の部分に「垂木(たるき)」を取り付けます。

前回、なぜ取り付けなかったのか不思議です

角材(たるき)を1本取り付けるだけなので、それほど手間ではありません。

隣家との開口部分もしっかりと塞ぎます。

屋根下地も「野地板」に替わりました。

下葺き材を立ち上げる事で、下地は完成です。

この後の、仕上げ方は大きく分けて2通りあり、これは「はことい」と呼んでいる仕様です。

側溝のような形状で雨水を軒先方向へ流します。

屋根の縦のラインは軒先に対して垂直ではなかったので、是正にも役立ちました

軒先部分では、流れた水を樋へ流す「壁止まり」と呼んでいる部材を取り付けました。

雨水は、軒樋を流れる雨水の落とし口である「上合(じょうご)」へダイレクトに入って行きます。

「伝う雨」が雨漏りの原因となる恐れもあります

「壁止まり」には、雨が伝って外壁を濡らすのを軽減する役割もあります。

端部は「たれ」と呼んでいるカバーがついた「袖瓦(そでかわら)」と呼んでいる瓦が葺かれます。

「はことい」の段差と共に「たれ」が、雨水の侵入を防ぎます。

棟部です。

外壁の新調は同時施工の方が経済的です

併せて、外壁面も、軒先まで全て新調されて綺麗になりました。

「はことい」「アオリ」どちらを採用するかは「現場の条件」で使い分けています。

「アオリ」仕様で、部材を新調した例です。

「アオリ」仕様については、2022年11月25日付ブログ「登り取り合い」で、詳しく紹介しています。

「アオリ」の勾配が大切です

板金部材は、瓦の形状に合わせて加工して隙間ができないようにしてあります。

ここまで丁寧に施工している案件はあまり見かけません。

「アオリ」の「勾配」が足りません

こちらは「アオリ」仕様で、板金部材は再使用した例です。

どの仕様でも「下地」「下葺き」から「板金工事」まで、一体となった丁寧な施工が大切です。

これからもしっかりと対応したいです!