鉄釘 ダメ ゼッタイ!

2024年3月22日

僕達の住んでいる北陸地方の瓦の緊結方法は、地元産の「49判」と呼んでいる「銅線留め」と、愛知県で生産されている「53A」と呼んでいる「釘止め」に大別されます。

「49」判の緊結です。「銅線」を使用して「桟木」に結束します。

「53A」の緊結作業です。「釘」を「桟木」に打ち込んで緊結します。

昭和時代では「耐寒性」を理由として「49判」が主に使用されていましたが、現在では、問題点が改善され、「53A」が主流になっています。

「釘留め」では「防錆」を目的とした「ステンレス製」の釘の使用が必須です。

施工時期によっては、知識不足から緊結に「鉄釘」を使用し、錆びによる膨張から「割れ」を起こしている案件を見かけます。

「割れ」を起こす瓦は、交換しやすい箇所もあれば、難しい箇所も。現在、瓦は全数緊結するのが当たり前ですが、当時は数枚おきにしか緊結しない業者も多く、幸いして?数枚に1枚ずつ割れるという案件が多いです。

釘は重なり部分で見えないので確認も大変です

断面写真です。

緊結部分は、瓦の重なり部分にあり、表面上は「割れ」が見えない場合もあります。しかし内部では、屋根上を流れる雨水が、逆水を起こして、雨漏りの原因となっています。

点検の際には、緊結方法の確認(釘の確認)が、大事です。対応としては「葺き替え」や「葺き直し」以外では、目視で点検を重ねて、交換を続けるしかありません。

仕事に対する姿勢の問題ですね

「ステンレス釘」を使用した案件でも、前述の通り、数枚おきにしか緊結していない場合は「強風」「地震」に対しては脆弱になります。

緊急に、問題となる部分ではないので、お客様の意見を頂きながら、様々な方法を提案させて頂いています。

「パンク」しても割れるまで雨漏りの原因となる事はありませんが、見栄えが悪いですね

冒頭で触れた、耐寒性の問題とは、写真のように、瓦の表面が剥離してしまう事を指します。裏面が剥離してしまう場合もあり、昭和時代から平成初期の案件で見られます。僕たちは、「パンク」と呼んでいます。

現在では、技術も上がり瓦本体については「60年」の保証ができるまでになりました。

瓦の交換をDIYでされる方もおられると思います。瓦の交換の方法について2023年9月30日付ブログ「瓦の交換の方法」で紹介しています。