雨漏り 点検 瓦の裏側

2024年2月9日

雨漏りの点検に伺った際には、瓦の「割れ」「ズレ」の他に「屋根の下地の点検」も重要です。

瓦葺き部分の点検では、写真のような「落ち込み」があり「勾配」が取れていない部分が無いか確認します。

瓦をはぐると「下地」が落ち込んでいて、じんわりと濡れています。

これは、瓦の上を流れる雨水が「逆水」を起こした事例です。

「逆水」については当ホームページの「サービス内容」→「雨漏り修理工事」→「下地の傷み 落ち込み」で紹介しています。

瓦葺きでは「下地」の上に、バックアップとして「下葺き」があり、機能している内は雨水が侵入してもすぐに、天井まで到達する事はありません。

瓦屋根は「瓦」+「勾配(水のキレ)」+「下葺き材」で、防水を確保しており、この場合では「勾配」と「下葺き」が、不十分になった事例です。

他の「下葺き」については2021年4月24日付ブログ「大切なバックアップ」で紹介しています

今回紹介している仕様は、右側の「小舞・こまい」と呼んでいる「下地」に、薄い木で出来た「のし葺き」と呼んでいる「下葺き」が張ってあります。

瓦の荷重を支える部分が「小舞」の隙間に来ると落ち込みが発生しやすくなります。

「小舞」を隙間なく施工すれば良いのですが、高価だったのか隙間を開けて施工してある事例が殆どです

既存の「小舞」に「合板」を張った断面です。この案件は「お寺」で、長い間、葺き替え工事のたびに「合板」を重ね続けて施工したようです。

「逆水」が発生しやすい箇所としては、瓦の上を流れる流量が大きい「軒先」に近い部分や「谷部」の下、雨樋が壊れている部分などが多く、立地的な要因もあります。

写真では「桟木」ごと落ち込んでいます。比較的新しい年代からは「下地」は隙間なく施工されていますので落ち込みは、ほぼ心配ありません。

雨水の侵入箇所は、気象条件により、変わる事が多く、ピンポイントでの対応を難しくしています

雨水が侵入すると腐食が始まり、進行してしまう悪循環になってしまいます。

「逆水」は、大雨や暴風雨の際だけに発生する事が多く、対応を「後回し」にしてしまうお客様もおられます。しかし近年はゲリラ豪雨に代表される異常気象も頻発しており、様々な悪影響が考えられるので、早めの対応をお勧めしています!

施工範囲は、お客様と相談です。

「落ち込み」による雨漏りを発見した際の一番小さな対応としては「下葺き材」を瓦の重なり部分へ折り返して差し込む事により「逆水」を防いでおき、後日、瓦の荷重を支える部分に「ベニヤ」を張ったりして「瓦に適切な勾配を取り戻す」と言った内容となります。

屋根の点検は、瓦の「割れ」「ズレ」だけでなく、荷重を支える「下地」の点検も重要です。

やっぱり、屋根の点検は、実際に登って隅々まで自分の目で確かめないとダメですね(笑)