㉑「葺き止め」工事
「外壁張り替え工事」と併せて「瓦葺き部分と外壁との接続部分」である「葺き止め・ふきどめ」と呼んでいる部位のメンテナンス工事を施工させて頂きました。「葺き止め」は、外壁を伝う雨を屋根へ流す重要な箇所ですので「新築」「リフォーム」を問わず妥協を許さない施工を心がけています。既存の、外壁を取り外す場合と、そのままで施工する場合があり、対応できる範囲や予算が大きく変わってくるので、事前の打ち合わせがとても重要な工事です。外壁のリフォームをお考えの際は、先に瓦葺き部分の対応を済ませておくことをお勧めします。
「既存の外壁」を取り外し「下地」を確認します。状態が悪い場合は、後で対応する事が難しいので、今回の工事で全て対応しておきます。
「葺き止め」部分での、各種部材の下地となる「葺き止め下地」と呼んでいる部材を取り付けます。
「ゴムアスルーフィング(赤色)」と呼ばれる「下葺き材」を施工します。壁側で、後工程の「捨て水切り板金部材」より高く施工(オレンジ色)する事が大事です。
「捨て水切り(赤色・黄色)」と呼んでいる防水用の板金部材を取り付けます。「下葺き材」が「板金部材」より高く取り付けてある事が分かります。既に十分対応が出来ている場合は「捨て水切り」を省略する事もあります。水色で示した雨水のの流れを考慮して施工していきます。
瓦を葺き戻した後「棟土」と「漆喰」で「土台(黄色)」を作り「土台」の上に「水切り板金」の下地となる「雨押さえ板・アオリ(赤色)」と呼んでいる板を取り付けます。この案件の雨漏りの原因は「葺き止め下地・雨押さえ」の取り付け不良が原因でした。エアコンの室外機等がある場合は、脱着が付帯します。 この案件は「アオリ」で仕上げてありますが「のし瓦」を積む仕様もあります。
「雨押さえ板」に「水切り板金」をしっかり立ち上げます。窓枠の作業を「コーナー」と呼んでおり、下では折り返し、上部とサイドでは別途金具を取り付けて、雨漏りに対応します。外壁の下地には「透湿防水シート」を張り、端部を、専用のテープで塞ぎます。その名の通り「湿気を通し水は通さない」ので「結露・防水対策」となります。これらの作業は「外壁を取り外さないとできない作業」です。
「新調する外壁と既存の外壁との接続部分」は、写真の「角コーナー」と呼んでいる部分などが、違和感がなく仕上がり、続けてのメンテナンス作業もスマートにできます。板金部材の継目を「目地」と呼んでいますが、隙間はコーキングでしっかり塞ぎます。オレンジの部位を「水切り」と呼んでいます。外壁の施工範囲を考える際に、区切りとなる部位で「水切り」については、最近では施工しない事も多いです。
最後に、外壁を取り付けて完成となります。既存の外壁の交換の有無で、大きく工事内容が変わります。今回は、外壁の内部から葺き止めまでしっかりと対応する事ができ、大変良い仕上がりになりました。