雨漏り 点検 瓦の裏側

2024年10月12日

雨漏りの点検に伺った際には、瓦の「割れ」「ズレ」の他に「屋根の下地の点検」も重要です。

瓦葺き部分の点検では、写真のような「落ち込み」があり「勾配」が取れていない部分が無いか確認します。

瓦の上を流れる雨水の流量が大きい軒先に近い部分で危険性が大きくなります

瓦をはぐると「下地」と「瓦」の接地面が落ち込んでいて、じんわりと濡れています。

これは、瓦の上を流れる雨水が「逆水」を起こした事例です。

「逆水」については当ホームページの「サービス内容」→「雨漏り修理工事」→「下地の傷み 落ち込み」で紹介しています。

瓦葺きでは「下地」の上に、雨漏りのバックアップとして「下葺き」があり、機能している内は雨水が侵入してもすぐに、天井まで到達する事はありません。

瓦屋根は「瓦」+「勾配(水のキレ)」+「下葺き材」で、防水を確保しており、この場合では「勾配」と「下葺き」が、不十分になった事例です。

他の「下葺き」については2021年4月24日付ブログ「大切なバックアップ」で紹介しています

今回紹介している仕様は「のし葺き」と呼んでいる仕様でした。

右側の「小舞・こまい」と呼んでいる「下地」に、薄い木で出来た「下葺き(のし葺き)」が張ってあります。

瓦の荷重を支える接地面が「小舞と小舞の隙間」に来ると落ち込みが発生しやすくなります。

「小舞」を隙間なく施工すれば良いのですが、高価だったのか隙間を開けて施工してある事例が殆どです

既存の「小舞」に「合板」を張った断面です。

この案件は「お寺」で、長い間、葺き替え工事のたびに「合板」を重ね続けて施工したようです。

「逆水」が発生しやすい箇所としては、瓦の上を流れる流量が大きい

・「軒先」に近い部分

・「谷部」の下、雨樋が壊れている部分

などが多く、立地的な要因もあります。

写真では「桟木」ごと落ち込んでいます。新しい案件の「下地」は隙間なく施工されていますので落ち込みは、ほぼ心配ありません。

雨水の侵入箇所は、気象条件により、変わる事が多く、ピンポイントでの対応を難しくしています

雨水が侵入すると腐食が始まり、進行してしまう悪循環になってしまいます。

「逆水」は、大雨や暴風雨の際だけに発生する事が多く、対応を「後回し」にしてしまうお客様もおられます。しかし近年はゲリラ豪雨に代表される異常気象も頻発しており、様々な悪影響が考えられるので、早めの対応をお勧めしています!

瓦本体の熱による断熱材、湿気による下地への悪影響が考えられます

瓦葺きの長所として

「下地と瓦本体との間に空間があり、自然な空気の流れがあり下地に優しい」

という事があげられますが、空気の流れを阻害するような施工は、逆効果になる事があります。

施工範囲は、お客様と相談です。

「落ち込み」による雨漏りを発見した際の応急的な対応としては

①「下葺き材」を瓦の重なり部分へ折り返して差し込む事により「逆水」を防ぐ

②後日、瓦の設置部分に「ベニヤ」を張ったりして「瓦に適切な勾配を取り戻す」

と言った内容となります。

屋根の点検は、瓦の「割れ」「ズレ」だけでなく、荷重を支える「下地」の点検も重要です。

やっぱり、屋根の点検は、実際に登って隅々まで自分の目で確かめないとダメですね(笑)