「半端瓦」と「和瓦クリップ」

2024年11月9日

日々、色々な所で、アイディア商品が発売されてどんどん生活が便利になっていきますね。瓦の世界でも「和瓦クリップ」という商品が発売されました。

今回、初めて弊社でも採用し、早速施工してみたので紹介したいと思います。

色は「黒」と「銀」があり、瓦の色に合わせて使い分けます

9月27日付ブログで「勝手瓦」について紹介させて頂きましたが、その中で、瓦のズレを防ぐためのパーツとして「ストッパー」という部材を紹介させて頂きました。「和瓦クリップ」は、その進化版です。

寸法が合い、切断の必要が無い場合は「まもの」と呼んでいますが、表記は「半端瓦」で統一しています。

2023年1月7日付ブログ「瓦屋さんの日常 棟工事」内で紹介させて頂きましたが、屋根の大きさと瓦の大きさが合わずに、はみ出した場合「半端瓦・はんぱかわら」「はんきり」と呼んでいる「はみ出した分を切断する」作業があります。

開口寸法が広すぎる場合は、加工に失敗した時はもちろん、リフォーム等で、既存の瓦を再使用する際にも、確認して不十分な場合は交換します。

「49判」と呼ばれる瓦の仕様では、対応していません

屋根の頂部である「大棟部」は、他の部位に比べて「風圧力や地震力が大きい部位」ですが「はんきり」の緊結方法は、周囲に瓦がなく不安定で、緊結する釘孔も無いので、長年の課題でした。

「和瓦クリップ」は、十分な強度があり、防災面での大きな効果が期待できます!

施工方法も簡単で、現場からの評判も上々です。

商品のチラシです。屋根の左右の端部の瓦である「袖瓦」にも採用できます。

地震で「棟部」が損壊した例です。土台となる「半端瓦」が欠落する事により、棟全体が不安定になります。

特に「49判」と呼んでいる仕様の瓦は、下地で瓦の荷重を支えるので、下地の補修、補強が重要です。

リフォーム工事等で、屋根の下地や瓦の緊結が不十分な場合は、施工範囲を広げて施工する場合もあります。

この案件では、既存の下地にそのまま4mm合板を取り付けましたが…

「黄色」で示した「桟木」も新調します。

こちらは「小舞(赤色)」「5分(15.15mm)野地板(オレンジ色)」と併せて補強した案件です。

僕達は、棟部の土台をしっかりと施工する事で、災害に強い施工を目指しています。

案件によって、見積もり単価が異なるのは「下地の状態」が主な理由です。

「黒」と「銀」の2色があり、目立たないように使い分けます

屋根の右側の端部(右袖瓦)での施工例です。瓦の露出部分に、孔を開けずに緊結できる所もメリットです。

屋根の左端(左袖瓦)での、施工例です

繰り返し紹介していますが、屋根の「端部」も「棟部」と同じく他の部位に比べて風圧力が大きくなります。

今回は「棟部」「端部」のみでしたが、気候条件が厳しい地域では「平部(瓦葺き部)」でも採用できますね。

瓦の表面に孔を空けずに緊結できる面が素晴らしいです

「隅棟」の下の三角形に加工された「勝手瓦」での施工例です。

最近は、以前より気候が厳しく、自然災害も増えてきました。しかし、瓦が重いから被害が拡大するのではなく、正しい施工方法が重要なのです!

建物を守る最前線の屋根を担う責任者としてこれからも創意工夫を重ねて安心をお届けします!