幻の逸品

弊社も仕事納めとなり、僕も少しほっとした時間を過ごしています。

最近、瓦作業専用の「とんがり」と呼んでいる「かなづち」を作っておられた業者さんが、廃業され、事業が新しいメーカーさんに移譲されたとの話を聞いたので、先日、組合まで行って在庫を残らず頂いてきました。

「富山県瓦工事業協同組合」では、瓦業界に関する各種活動に加えて、僕達が使う道具についても取扱いされています。

これは「瓦」専用の「かなづち」で「とんがり」と呼ばれています。

瓦の表面に「穴」を空けたり「目印」の為に傷を付けたりしやすいように尖った部分があるのが特徴です。

今回、製造中止になったのは、一番上の商品です。

打撃部分は、瓦を加工しやすいように四角い形状になっており「タングステン」で出来ています。

辺の長さが5分(約15mm)あるので、目視での作業の際に目安になります。

この部分は、大変欠けやすく、瓦以外をたたくのは厳禁ですが、それでも、破損してしまい、修理を重ねていきましたが、現在、修理は受け付けておらず、慎重な取り扱いが求められています。

今回、無くなってしまうしまうメーカーさんのトレードマークです。

「とんがり」が無くなってしまう訳ではないのですが、慣れ親しんだこの製品は今回は最後だと思うと悲しい気持ちで一杯です。

持ち手に「寸」刻みの目盛りが入っているのが便利です。

時代の流れかもしれませんが、職人さんの中には「とんがり」を使用せずに、ホームセンターで売っているような「ハンマー」で作業している方も見られます。

悪いという訳ではないですが、日本中の瓦職人を支えてきた一つの会社が途絶えてしまうのが悲しくて、今回投稿させて頂きました。

製造メーカーさんには「今までありがとうございました」という気持ちと、新しいメーカーさんには「継承して頂いてありがとうございます」という気持ちになった年末でした。