一文字カッター
先日、雨天で現場が休みだったので、弊社が請け負っている「一文字軒先瓦の合端作業」という仕事をさせて頂きました。

「一文字軒先瓦」とは「軒先瓦」の仕様名で「たれ」の下端が一直線になった形状です。
すっきりとした印象の瓦で「目地」が良く見えるので、予め瓦を加工してから施工します。
瓦を加工する事を「合端・あいば」と呼んでおり、今回紹介する作業になります。

又、軒先部分が板金屋根で施工された「奴葺き(やっこふき)」と呼ばれる仕様の際にも施工する事があります。

「一文字軒先瓦」の「合端作業」は「一文字カッター」と呼んでいる専用の機械と、水道水を掛けるホース及び、排水に含まれる粉を沈殿する「舟」を用意します。
機械は、僕たちにとっては、大変高価で、あまり使用する機会も少ないため「持っていない」「使用できない状態である」瓦屋さんも多いようで、弊社でも使用する機会があまりありません。
弊社は、所有する機械を瓦の製造メーカーさんに常時設置して、下請け作業として請け負う事もあります。

作業前に、指定された瓦の幅寸法に合わせるための調整をしてから、瓦をセットし、ハンドルを下げると、自動的に左右で切断(黄色部分)していきます。
写真で回転している刃(赤色部分)は、S45Cと呼んでいる鉄にダンヤモンドを配した部品で「カップホイール」と呼んでいます。
研磨部分の過熱を防ぐためにホースで水道水(水色部分)を掛けながら作業します。
排水は粉交じりなので、沈殿させてから流します。

ハンドルは慎重に下げないと「欠け」を起こします。
中腰で操作するので、腰が痛くなります。
体も水浸しになるので、雨合羽の着用が必須です。

正面から見て左側になる「雀口・すずめぐち」と呼んでいる部分です。

右側を「差し込み口」と呼んでいます。左右同時に2カ所切断します。
「一文字瓦」はどのような幅の瓦でも対応できるように予め大きく作られています。
現場毎に寸法を測る必要があります。

仮置きです。
作業の目的は、左側の「雀口」と、右側の「差し込み口」の目地を綺麗に合わせる事です。
工場で作業しているので、搬入や納品の為の運搬が不要で合理的ですね!

天候に左右されることが多い、僕達にとって、雨の日でも作業でき、とても助かる仕事です。
友達の業者さんが、僕達の機械を使用して作業して行く場合もあります。助け合いですね!

前述しましたが、完成品はすぐに欠けるので、取扱注意です。
写真は、どうしてもできてしまう「欠け」です。
作業はとても繊細で、開始してから機械の調子が出るまで少し時間がかかります。

最近では「雀口」を無くした「真一文字(しんいちもんじ)」と呼んでいる仕様も増えてきました。

地味な作業ですが、美しい屋根の為に頑張っています!