一文字カッター

2024年7月20日

先日、雨天で現場が休みだったので、弊社が請け負っている「一文字軒先瓦の合端作業」という仕事をさせて頂きました。

「一文字軒先瓦」の施工は「職人の腕の見せ所」です。

「一文字軒先瓦」とは「軒先瓦」の仕様名で「たれ」の下端が一直線になった形状です。

すっきりとした印象の瓦で「目地」が良く見えるので、予め瓦を加工してから施工します。

瓦を加工する事を「合端・あいば」と呼んでおり、今回紹介する作業になります。

「一文字軒先瓦」の「合端作業」は「一文字カッター」と呼んでいる専用の機械と、水道水を掛けるホース及び、排水に含まれる粉を沈殿する「舟」を用意します。

機械は、大変高価で、あまり使用する機会も少ないため「持っていない」「使用できない状態である」瓦屋さんも多いようで、弊社でも使用する機会があまりありません。

弊社は、所有する機械を瓦の製造メーカーさんに常時設置して、下請け作業として請け負う事もあります。

大量の水道水を使用します

作業前に、指定された瓦の幅寸法に合わせるための調整をしてから、瓦をセットし、ハンドルを下げると、自動的に左右で切断(黄色部分)していきます。

写真で回転している刃(赤色部分)は、S45Cと呼んでいる鉄にダンヤモンドを配した部品で「カップホイール」と呼んでいます。

研磨部分の過熱を防ぐためにホースで水道水(水色部分)を掛けながら作業します。

排水は粉交じりなので、沈殿させてから流します。

刃の損耗も激しいので、維持経費が大きいのが悩みです

ハンドルは慎重に下げないと「欠け」を起こします。

中腰で操作するので、腰が痛くなります。

体も水浸しになるので、雨合羽の着用が必須です。

正面から見て左側になる「雀口・すずめぐち」と呼んでいる部分です。

右側を「差し込み口」と呼んでいます。左右同時に2カ所切断します。

運搬時にも細心の注意が必要です

仮置きです。

作業の目的は、左側の「雀口」と、右側の「差し込み口」の目地を綺麗に合わせる事です。

工場で作業しているので、搬入や納品の為の運搬が不要で合理的ですね!

瓦本体も従来品に比べ高価で、工賃も加わり贅沢な仕様と言えます

天候に左右されることが多い、僕達にとって、雨の日でも作業でき、とても助かる仕事です。

申し訳ありませんが、ロスの価格も転嫁させて頂いています。

前述しましたが、完成品はすぐに欠けるので、取扱注意です。

写真は、どうしてもできてしまう「欠け」です。

作業はとても繊細で、開始してから機械の調子が出るまで少し時間がかかります。

「雀口」がありません

最近は、事前の「合端作業」を必要としない製品も増えてきましたが、昔ながらの製品も健在です。

地味な作業ですが、美しい屋根の為に頑張っています!