瓦の締め直し

2024年2月11日

先日より、屋根のメンテナンスを施工させて頂きました。今日は、その一部について、施工前の点検から施工までの流れをご紹介したいと思います。

屋根に上がる前から、軒先天井に「シミ」を認めます。雨水が下地に入っていると思われます。

「シミ」の上はこのような仕様になっていました。「棟部」から「軒先」方向へ冠瓦が施工されていますが、このような仕様を弊社では「下がり丸」と呼んでいます。

意匠用や桟瓦の補強といった目的の他に、下地の幅が広すぎて、瓦が届かなかった分を「下がり丸」でカバーする目的もあります。

今回の問題は「冠瓦」が、瓦の一番高い部分である「桟芯・さんしん(黄色ライン)」までカバーできていない事です。

「桟芯」を境に雨水が分水嶺のように左右へ分かれるので、カバーが不十分だと赤いラインのように、下地へ雨水が入り込みます。

建物より屋外側だと発見が遅れる事があります。

瓦をはぐって確認すると、雨水の流量が多い軒先部分で下地の腐食が見られました。

幅が広すぎた屋根下地に合わせて瓦を葺くために、屋根全体で瓦の左右の重なりを少なく葺いてありました。このような葺き方を「甘い割り付け」と呼んでいます。

瓦の重なりが少ないと、瓦の上を流れる雨水が大量の場合に対応できなくなります。

瓦も緊結がされていなくて「置いてある」という施工でした。災害時に2次災害にもつながるので怖いですね!

棟部だけの施工でも「締め直し」して、修正に努めています。

瓦本体に問題はありませんでした

「下がり丸のカバー不足」「甘い割り付け」「緊結の無い瓦葺き」という条件から、風の影響が大きい2階の屋根において「瓦下地はそのままで、瓦を目視で選別しながら全数緊結」という作業を施工しました。

点検の際の予測が大切です。

補修が必要な部位もしっかり対応します。

適切な施工であれば全く問題ありません。

「下がり丸」は、下地の寸法に合わせて瓦を葺くために便利ですが、施工方法の間違いや手抜きが弱点となってしまう部位です。適切な施工で安心をお届けしたいですね!

重なりを減らして葺く事は最も避けたい事です。

瓦の巾の重なりが少ない問題に対応するため「幅の広い瓦」や「大きい冠瓦」を施工して、十分なカバーを確保しました。

「棟部」のメンテナンスは、状態により「一部」か「全体」かを選択します。

「下がり丸」は構造上「棟部」と一体となっており、併せて全面的なメンテナンス工事を施工しました。

家を建てる際には、屋根下地の寸法について十分な打ち合わせが大切です。

屋根の端部へ「瓦ビス止め作業」も施工し、予算を無駄なく活用する事ができました。

瓦の性能を十分に発揮するには、適切な施工が不可欠で、今回のように「修正が必要」な場合もあります。

これからも、お客様と一緒に最適な方法を見つけていきたいです!