向き・不向き

2023年1月5日

先日より、雨漏りの修理に伺っていますが、現場を見て思った事があって、投稿してみました。

写真の部分なのですが、時折雨漏りがするとの事でした。

この写真では分かりにくいですが、この案件は、左側から雨水が多く流れる条件で、谷部の右側(壁側)は緩勾配でした。その場合、瓦の上を流れる雨水が、壁側へオーバーフローしてしまわないか心配になりました。

板金部材で仕上がっている部分も、元は、瓦で仕上げてあったのですが、瓦葺きの場合、どうしても「谷板」と呼んでいる、谷部で雨水を流す板金部材と瓦の間に隙間ができるので、今回は、写真の部位を板金部材で仕上げる形にしてみました。

こちら側から見ると、壁側で、左の瓦葺き部分に対しての勾配が緩い事が分かると思います。下部の方で、瓦と谷板の隙間が見えますね。「バックアップ材」と呼んでいる、緩衝材を兼ねた水返しを施工しますが、それでも心配な場合は、幅の広い谷板を施工したりします。

今回は、左側から流れる雨水の対応として、谷板より右側を板金部材で施工する対応となりました。

こちらは、反対側部分です。屋根の形状が複雑なので、板金部材で一体化した仕上がりにしました。

常に水の流れや勢いなどを想像しながらの作業になりますね。

現場では、実際に水を流して確認する事もあります。

今回、思った事は「向き・不向き」です。僕は、瓦屋さんなので、屋根材は瓦が一番って思っているのですが「耐久性」「ランニングコスト」「防音性」「断熱性」に優れる反面「一定の勾配が必要」「複雑な形状、斜めや曲線に向かない」などの欠点もあります。お互いの長所を生かし、欠点をカバーしながら一番良い仕上がりを目指そうと改めて思いました。