有効な予算の使い方

2024年4月19日

先日より、棟の積み直し作業にお伺いしている現場がありまして、併せて「のきてん」と呼んでいる部位のメンテナンス作業を施工させて頂きました。

今すぐ対応が必要な作業と、将来に備えるための作業との兼ね合いが大事ですね

「のきてん」とは、軒先の天井の略です。施工してから、年月が経つと、本体の劣化に加え、留め付けの下地やビスの劣化により、ズレや欠落を起こすことがあります。内部に、鳥獣などが侵入して思わぬ事態になってしまう場合があるので、しっかり対応したいですね。

着工前の地上からの目視点検では、1枚だけ欠落を確認していましたが、着工後に他の部位でも緩みを確認したので、今後に備える為に、できるでけ施工範囲を広げて施工させて頂きました。

着工後も、コミュニケーションを取り、変更を恐れず最善の対応ができるようにしたいですね

いくつかの「のきてん」部材には「有孔ボード」と呼んでいる結露の防止のための、内部との換気を目的とした、孔の空いた部材が使用されています。

今回使用した「のきてん」の部材は「ケイ酸カルシウムボード」略して「ケイカル」と呼んでいる部材です。他にも、合板で出来た部材などいろいろな種類があります。

「のきてん部材」を取り付け「壁」と「のきてん」の境に、コーキングを施し、ビスにペンキを塗って完成です。

併せて、軒先瓦にビス止め工事も施工しました

前述の通り、着工前の地上からの目視点検では「のきてん」については、欠落のみしか確認できなくて、その他の緩みやズレは、着工後に足場の上から点検して確認できました。

「部材の交換」か「瓦の締め直しだけ」かは、状態とお客様との相談になります

写真は「隅棟」と呼んでいる部位のメンテナンス作業の一コマです。

この案件では「谷部」と呼んでる部位と「隅棟」がとても近接していました。

「棟部」のメンテナンスでは、葺いてある瓦の取り外しが付帯しますが、施工範囲を少し広げる事により「谷部」のメンテナンス工事も全体に渡って、同時に効率よく施工できました。

「樹脂製の桟木」には、下地に侵入した雨水を軒先方向へ流す「溝」が、設けられています。

谷部の雨水が流れる部位には、下葺き材を張り増しして、防腐を目的として「人工樹脂製」の桟木を使用して瓦を葺き戻しました。

お客様の了解を頂いてから、追加の作業をさせて頂いていますが、着工してから見つかる不具合も多くあります。その際にもできるだけ、最善の対応ができるように「丁寧な現場確認による予測」「余裕を持った、予算・工期と関係者各位の細かなコミュニケーション」を大切にしています。

施工にあたっては「作業の重要度」「コストパフォーマンス」「緊急性と将来性」「今しかできない作業か、後でも対応できるか?」「将来的な作業や他の作業と重複したり支障にならないか?」「建物の将来的な展望」といった多くの視点から「お客様と共に考えていく」事を大切にしています。

貴重な予算を、お金でお返しするか、工事でお返しするかはケースバイケースですが、お客様の要望に沿って、予算を最大限に生かし、無駄のない作業を提案できる自信が僕達にはあります。

今回の案件も、着工後に見つかった問題にもしっかり対応する事ができ、安心して頂ける仕上がりになりました。

点検時に見落としが無いように、精進すると共に、予算の使い方が一番大事という事を考えて、プロの自覚を持って仕事に臨みたいと改めて思いました。お客様にも遠慮せずに、些細な困り事も相談してほしいです!