雨樋の名前

2024年2月12日

瓦と一緒に、雨を適切に流すための、大切なパートナーの「雨樋」。今回は「雨樋」の各部の「名称」について触れたいと思います。色々な呼び方があるのですが、弊社での呼び方で紹介します。作業の様子は、実績⑦で紹介していますので、合わせて参照して下さい。

軒樋の端部は「止まり」という部材で塞ぎます

写真は一般的な「雨樋」です。軒先にあるU字型の樋を「軒樋・のきとい」下方に雨を流す管状の樋の内、壁に設置してある樋を「竪樋・たてとい」瓦の上の樋を「這樋・はいとい」と呼んでいます。ジョイント部分を「軒樋」では「スナップソケット」で「堅樋」では「たて継手」でつなぎます。

「樋金具」は「たるき」が下地です。1本毎の取り付け案件もあるので、作業の際は全ての「たるき」に増設します。

「のきとい」を支える金具を「樋金具」と呼び,工事の仕様は「取り付け方法で区別」しています。写真は、上から取り付けるタイプの「上打ち」です。長所は「積雪荷重などに強い事」短所は「軒先の高低の通りによって水を流す方向に制約がある」事です。金具の交換の際に「軒先部の瓦の脱着作業が付帯」しますが、弊社では「瓦の締め直し」や「瓦ビス止め」など、同時にできる作業を追加する事で「コストパフォーマンスの向上」に努めています。

「じょうご」は良く枝葉が詰まります

写真の仕様は「樋金具」を、垂木と呼ばれる角材に横から取り付ける「垂木打ち」仕様です。雨水を「のきとい」から「たてとい」へ流す落とし口を「上合・じょうご」や「集水器」と呼んでおり、「のきとい」の下流で取り付けます。「上打ち」では、思い通りに水を流せない場合がありますが「垂木打ち」仕様では問題になりません。短所は、作業の為の足場が必要になる事が多いという事です。

瓦の出寸法は垂木打ちで45mm 上打ちで60mm~70mmが多いです

写真の案件では、片側で雨水を流す地面が、舗装されていなくて、雨水をそのまま流すと「水たまりができるだけでなく、建物の基礎にも影響する」と考え、どうしても一方にだけ水を流したい案件でした。樋に勾配を付けるためには「金具」の勾配が必要ですが、「勾配」の為の「垂木」の寸法が足りなかったので、既存の垂木に新しい垂木を添えて金具を取り付けた案件です。雨水を方向を限定するための選択でした。

「樋金具」を軒先の「鼻隠し」という板に取り付けてある仕様を「面打ち仕様」と呼んでいます。「垂木打ち仕様」と同じく「軒先の高さ通りは関係ありません」

下地となる「鼻隠し」の状態、出入りの通りが直線(軒先瓦と平行である)といった条件が必要なので、部材の交換が必要になる場合があります。

部材の劣化による「のきとい」の変形等により「勾配が変化してしまう」事例はよく見られ「樋から雨水がこぼれる」「流れが悪くなる」事例が見られます。雨漏りの原因となるだけでなく「外壁の劣化」「周囲の腐食」にもつながり、現在、樋の設置がない案件でも取り付けをお勧めしています。

最近では、異常気象なのか、ゲリラ雷雨に代表される豪雨が頻発し、キャパが足りずに「雨樋」がオーバーフローを起こしている案件が増え「じょうご」を増設するなどして対応しています。

「たてとい」「はいとい」が壊れると、外壁や下地の腐食につながります

「たてとい」は「ツカミ」や「デンデン」と呼ばれる金具で外壁に固定されており「エルボ」と呼んでいる曲がった部材を通りながら下流へ流れます。下の屋根の「のきとい」へ流す「エルボ」を、特に「はいといエルボ」と呼んで区別しています。

屋根と外壁の接続部分は、屋根材の種類に関わらず、雨漏りの原因となり易い部位です。「たてとい」のサイズは重要な部分で、屋根の大きさ(水量)と合わずに雨水があふれ出すと雨漏りの原因となります。

「のきとい」で、写真のようなコーナーに当たる部分を「曲り(黄色)」と呼んでおり、写真のように、せりあがっている仕様を特に「てりとい」と呼んで区別しています。下に見える2つの「たてとい」を1カ所にまとめる部材を「よせます(緑)」と呼んでいます。

赤→じょうご オレンジ→てりとい 黄色→曲がり 青→たてとい 緑→よせます グレー→軒樋・はいといエルボ となります。

地面に流しっぱなしだと、基礎に影響が出ます

4番目に紹介した写真と重複する説明になりますが、最終的に地面へ雨水をどう流すかも大切です。地面や基礎などへ影響が出ないようにしたいですね。

雨樋は、以上の過程で、雨水を流していますが、枝葉などで詰まりを起こすことも多く、定期的な点検及び清掃が不可欠です。(樋清掃のみで雨漏りが止まったという事例も良くあります)

これからも、「瓦」と「樋」の共同作業で、お客様に安心をお届けしていきます!