瓦工事に付帯した板金工事の作品写真集
瓦工事が終了した後も、屋根の工事は続きます。今回は、その一例を紹介したいと思います。
写真は、外壁に「角波(かくなみ)」と呼んでいる板金部材を取り付けている所です。庇の屋根も新しくなって、気持ちがいいです。
弊社では、異なる部位の接続面を「取り合い」と呼んでいます。
軒先から見て「平行方向」を「葺き止め(ふきとめ)」「垂直方向」を「登り」と呼びます。
主に「水切り板金」と呼んでいる金属製の部材で仕上げ、下地となる板(赤色)を「アオリ」あるいは「雨押さえ板」と呼んでいます。
下の屋根は「取り合い」作業が発生する事が多く、雨漏りの原因にもなりやすいため、丁寧な施工が必要です。
余談ですがオレンジ色で示した部材は、既存の外壁に新しい外壁材を取り付けるための下地です。(縦横)
「取り合い」では、雨水を適切に瓦葺き部分へ流すために「勾配」が必要です。
勾配を付けるための高低差を確保できない場合は、部材をV型にするなど工夫して施工します。
その他にも「函樋・箱樋(はことい)」と呼んでいる仕様もあります。
左右の屋根で勾配が異なったため、軒先付近で段差が足りなくなった時の工夫です。
スムーズに美しく仕上げたいですね!
写真は、外壁部材を取り外した仕様の工事風景です。
「取り合い」部分では、屋根の「下葺き材」の立ち上がりと外壁の「透湿防水シート」の重なりが大事です。
右端にオレンジ色で示した「下がり丸」と呼んでいる、瓦の寸法が異なる場合で隙間を塞ぐ目的の仕様が見えますね。
赤色で示した「外壁」と「隅棟」の取り合いは隙間ができないように丁寧に瓦を加工します。
「下がり丸」については実績⑫「(屋根面で瓦の仕様が異なる)屋根面で瓦葺き替え工事」で触れています。
「下がり丸」の取り合いも含めて、安心できる仕上がりになりました。
暴雨風で、壁にぶつかる雨風にも安心です。関連する説明を実績㉑「葺き止め工事」で触れています。
「外壁」を取り外さない仕様です。前述の2枚と併せて「棟部・外壁の取り合い」と表現しています。
この案件では、壁際のラインが斜めで「アオリ」を垂直に取り付ける事が困難だったので、接続面を「奴葺き・やっこふき」と呼んでいる仕様で仕上げました。
瓦を施工するにあたって、曲線や斜めのラインの施工が難しいという問題があります。その場合「奴葺き」で対応します。
上記の写真と同じ部分です。上の屋根からの雨水もスムーズに流せます。
こちらは「屋根の端部」の「奴葺き」です。
「奴葺き」を採用すれば、いろいろな条件に対応できますね!
町屋では、隣家と建物が接続している場合があります。基本的に、作業代金は施主さんの負担となる事から「経済性」ご迷惑をかけない「確実性」を兼ね備えたスマートな仕上がりが求められます。このような仕様を、僕達は「箱樋」と呼んでいます。
結果的にお隣さんにとっても、取り合いからの「雨漏り」「風の吹き込み」等の心配が減り、お互いにメリットがあります。
隣家さんが、将来、工事をする時もスムーズに作業できますね。
写真は、折り返しと呼ばれる部分です。瓦では難しい部分も美しくスマートにカバーしてくれています
プロの仕事ですね!
弊社では「瓦と板金部材に隙間ができないように加工」し、雨風や雪が吹き込まないように気を付けています。瓦を板金部材で包んでいる部分には、コーキングの堤防を施して、水が侵入しないようにしています。
サッシの周りは雨漏りの原因になり易く慎重に作業を進めます。この部分を「葺き止め」と呼んでいます。写真は「葺き止め」に「のし瓦」を積まない仕様です。
こちらは「のし瓦」を積む仕様です。「取り合い」では、下葺き材と水切り板金の立ち上がりが重要になります。写真では、下から「のし瓦(2段)」→「アオリ」→「水切り板金」と分かり易くなっていますね。
やむを得ず、外壁を取り外す事ができない場合は、外壁を切断して「水切り板金」を裏側へ差し込む方法もあります。
既存の外壁を残して作業する場合は、サッシ周りに注意して作業します。
サッシと壁際部分の仕上がりです。壁面に当たる雨を瓦の谷の部分へ流れるように加工してありますね。ビスの色も、板金部材の色と合わせて施工してあり、心遣いを感じます。サッシ周りも、雨漏りの原因になりやすく、慎重に作業しています。
ベランダと、瓦の「取り合い」もこの通り、スマートに美しく仕上がりました。
繰り返しになりますが「取り合い」をしっかりと仕上げる事はとても重要で、外壁工事を先に施工すると、「取り合い」部分の作業がとても難しくなり、クオリティも下がる事になります。
僕達の仕事の後を引き継ぎ、キッチリ仕上げて頂いて、本当に感謝です。本当に細かな、あまり目に触れない部分ですが、職人さんの技とこだわりの一端が分かって頂けたらと思いました。