後に続く道
何回も触れている話題ですが、屋根には「取り合い」と呼んでいる「異なる部位との境界線」があります。
今回「瓦葺き面」と「外壁」の「取り合い」である「葺き止め」でメンテナンス工事を施工させて頂いたので、紹介したいと思います。

今回の工事の特徴は「外壁はそのまま残して作業した」という点です。
「葺き止め」は「外壁を伝う雨水」が瓦葺き部分へ流れる重要な部位なので妥協はできません!

下葺き材をしっかりと立ち上げるために「葺き止め」を露出させます。
下葺き材を施工した後、瓦を葺き戻します。
今回、瓦葺き部分と外壁部分の開口が広すぎたため、現場で発生した廃瓦を再使用して「半端瓦」を新しく施工しました。

「半端瓦」と「外壁」との開口が広すぎると、カバーが不十分になり、外壁を伝う雨水などが原因で雨漏りを起こします。

「瓦にできる三日月状の開口を塞ぐ「面戸瓦」の内部に瓦のかけら「ガラ」を入れます。
「面戸瓦」が緊結されている様子が分かりますね。
今回の工事は震災の影響で「面戸瓦」の緊結を含む「葺き止め」の損壊の復旧作業でした。

面戸の内部に「棟土」を施工していきます。
「ガラ」が毛細管現象を防ぎます。

各部材には様々な呼び方があります。
下から順に雨を受け止めるような思考が大切ですね!

「のし瓦」「棟土」等を使用しない「乾式」と呼んでいる仕様もあります。
基本的に外壁の交換が付帯します。

案件によっては「外壁」を取り外すことができない場合もあります。
どうしても、外壁を取り外す内容とは少し品質が落ちてしまうので、お客様に了解を頂いてから着工します。

その場合は、できるだけ高く下葺き材を立ち上げるなど精一杯の作業でお応えします。
「半端瓦」が内部までしっかりとカバーできています。

外壁をそのままにして施工した事例の仕上がりです。
上部の「のし瓦」は「雨押さえ」に「コーキング」で固定します。

外壁をそのままにした施工例です。
できるだけ傷をつけずにきれいに仕上がりました。

外壁が「板金部材」ではなく「漆喰」の場合があります。
解体の際には、壁材に下方の支えがなくなるので、崩落しないように慎重に作業を進めます。

漆喰の外壁は「塗り直し」でも「塗装」でも施工が可能です。

少し特別な仕様を紹介をしていきます。
進め方としては、同じ仕様で再現する方法と、別の仕様で仕上げる考え方があります。

メンテナンス工事では、どのような仕上がりにするのかヒアリングが大切になっていきます。

様々なバリエーションがあります。

すっきり無くしてしまう選択肢もあります。

「外壁」「屋根面」の取り合いで「軒先と平行」ではない部分を「登り取り合い」と呼んでいます。
「葺き止め」と同じようなことが言えます。
2022年11月25日付ブログ「登り取り合い」で紹介しています。

きれいに仕上がりました。

「取り合い」を先に施工する事により、将来的に外壁を新調する際に重複する作業が無く、スムーズに着工する事ができます。

それまでは「はじ」と呼んでいる部位が露出する事になるので、事前にお客様の了解を頂く必要があります。

こちらは外壁も同時に交換した事例です。
足場等の設置が必要な場合は、同時のほうが経済的です。

このように、外壁の取り扱いで大きく工事内容が変わります。
この案件では「雨樋」も新調されていますね!

「取り合い」は「棟部」と「外壁」との間にも発生します。
軒先と平行な「棟部」を「大棟」と呼んでいます。

特に「棟部」の仕様が「乾式」に変更になった場合、開口部分が大きくなります。

外壁の交換を伴わない場合は、このような仕上がりになります。
メンテナンス工事は下からが基本です。
できるだけ「外壁工事」より先に「瓦工事」を済ませておく事をお勧めします。

斜めの棟である「隅棟」部分との「取り合い」です。
「隅棟」「大棟」の「取り合い」で「冠瓦」がしっかりと内部まで、組み込まれている事が重要になります。

問題があった事例です。
外壁と瓦との開口寸法が広すぎる(冠瓦が内部まで組み込まれていない)場合は、雨漏りの原因となる場合があります。
「隅棟」の長さが「冠瓦」の長さで割り切れなかった際にありがちな事例です。

「半端瓦」も「冠瓦」も、内部までしっかり施工できました。
ほんの少しの丁寧さが大きな結果につながります。

外壁を交換する場合は「取り合い」も、きれいに納める事ができます。
お客様の要望と予算をうまく組み合わせた作業を進めていきたいですね!

私達は、問題を解決するだけではなく、今後の展望も見据えた提案を心掛けたいと考えています。
今回の工事は「後へ続く道」をよく考える事ができたと言える工事となりました。
ご相談の際にはぜひ「将来」についてもお聞かせください!

