屋根の方向が変わる接続部分の内、板金部材で仕上げてある部位を「谷」と呼んでいます。
雨水が多く流れる部位で、対策について紹介したいと思います。
「谷部」で施工されている三角形に加工された瓦を「うろこ瓦」
使用されている板金部材を「谷板」
矢印で示した部材が、今回紹介する「谷止まり」と呼んでいる部材です。
最近、ゲリラ豪雨等で、一度に多くの雨水が屋根の上で流れ、雨樋に入りきらずに飛び出しているような事例が多く見られます。
継続的に同じ箇所に雨水が溢れ続けるので、板金屋根を腐食させたり、地面を侵食したりして困っています。
今回「谷部」の軒先に「谷止まり」と呼んでいる部材を取り付けて雨水が雨樋の中に入る工夫をしてみました。
雨水は「谷板」の中央部を通って流れ、「谷止まり」の「壁」に当たって、樋へ落とす仕組みです。
余談ですが、矢印で示したスポンジ状の部材は「バックアップ材」と呼んでいます。
①逆水や枝葉の侵入の防止
②うろこ瓦の勾配の調整
③谷板の保護
の為に取り付けています。
「谷部」が長いほど水の勢いが増すので、お客様の意見を頂きながら採用しています。
話が変わります。
写真は、隣家との接続面(取り合い)の一例です。
「はことい」と呼んでいる仕様で、「谷止まり」と同じ効果を期待して、軒先では「壁止まり」と呼んでいる部材を取り付けてあります。
「はことい」を流れる雨水は「壁止まり」によって「軒樋」の水を落とす「上合(じょうご)」へ入ります。
「はことい」は、側溝のような形状です。
「軒先が伸びている」案件では「壁止まり」が無いと、飛び出した雨水が外壁を継続的に濡らしてしまう事になります。
「壁止まり」を個別に取り付けた事例を2022年11月25日付ブログ「登り取り合い」の中で紹介しています。
軒先側から見た写真です。
赤で示した「壁止まり」で、雨水を堰き止めて「雨樋」へ流します。
隣家とのトラブルを未然に防ぐ工夫です。
こちらは「アオリ」と呼んでいる仕様で「壁どまり」を施工した案件です。
「壁止まり」はほぼ見えなくなっています。
全く目立たない「裏方」ですが、お客様の「困った」を解決する工夫の1つです。