ブログ きのえ

こだわり

僕達の仕事は、お客様や工務店さんの想いと現場の状態によって進め方や仕上がりが大きく異なります。

上の屋根に「雨樋」がない事も、屋根下地を痛める原因の一つです。今回、併せて「樋」も取り付けます

この写真は、瓦をはぐった後の「屋根下地」です。

一部だけ補修する要望でしたが、今後を見据えて「下地の新調」からの「葺き替え工事」をお勧めした所、納得して頂き、工事内容を変更して進める事になりました。

屋根の下地を支える矢印の角材を「たる木」と呼んでいます

この案件は、天井を張っていないので「屋根下地」が、屋内から見える仕様です。

合板がたわんで、垂れ下がっています。

合板は薄い木の皮を交互に接着剤で重ねた構造なので水分に弱いです

放置した場合、瓦の重みに耐えきれず、貫通してしまう場合があります。

点検の際に、下地を確認して、最適な提案を心がけています。

「合板」ではなく「野地板」という選択もあります。

ここで、選択肢があります。

①既存の下地の上に合板を張る

②既存の下地を取り外して合板を張る

という選択です。

点検の際に考える事の一つです

既存の屋根下地の上に合板を張っても問題なく施工できます。

天井を張ってあれば、屋根下地は見えないので、それでも良かったのですが…

上を見上げて「キレイか?」という問題です

「こだわり」で「既存の下地を取り外して施工」させて頂きました。

既存の屋根下地の解体工事や雨樋の脱着等の作業が追加されますが、きれいな屋根下地が見えますね!

瓦以外の工事も有る場合、屋根ばかりに予算を割くわけにはいきませんね

このように「想い」で、工事の内容は大きく変わります。

目に触れる部位なので、使用する合板も内装用の「節」などが少ない美観も重視したタイプを使用します。

建物の性格(住居or倉庫など)や「見える」「見えない」で、材料(予算)は使い分けですね。

合板の緊結は「釘」でも良いのですが「ビス」に「こだわり」ました

ビスが「たる木」から外れると屋内側から「丸見え」なので、慎重に取りつけます。

今回は「品質」「見た目」「施工」共に妥協しない仕上がりにする事ができました。

厚さは、主に4分(12.12mm)や5分(15.15mm)が使用されます

合板ではなく「野地板・のじいた」と呼んでいる「板」で、施工する仕様もあります。

「住宅」と「納屋」といった「建物の種類」によっても使い分けます

「節」が少ない製品を選択したり「プレーナー」と呼んでいる「表面を削ってキレイに見せる」と言った一手間を加える事もできます。

この案件では、天井が施工してあり「どこからも見えない」ので、特に考慮しませんでした。

下地材を支える「垂木(たるき)」のジョイント部分です。

横方向の横架材である「母屋(もや)」の上が望ましいのですが、部材の無駄や労力を省くために任意の所でジョイントを設けてあります。

「垂木」を施工する場合は「母屋」の上で「ジョイント」を合わせます。

また、高さを調整するために「パッキン」を入れたりします。

屋根の端部を覆う「鼻隠し」や「破風」と呼んでいる部材を交換する事もできます。

オレンジ色で示した部材を「母屋・もや」と呼んでいます

赤色で示した「屋根下地」を支える「垂木・たるき」まで交換する事もあります。

この案件は、豪雪地帯という事で、寸法も通常に比べて大きな部材を使用し、黄色で示したように間隔も細かくして施工しました。

黄色で示した部材を「のきけた」と呼んでいます

「垂木」が折れた案件では、野地板の交換が必須になってしまいます。

オレンジ色で示した部材を「棟木(むなぎ)」と呼んでいます。

「垂木」の交換は最低でも赤色で示した範囲で2カ所の支えが必要になります。

黄色で示した「のきけた」から、緑色で示した「母屋」までの範囲で交換が必要になるので、お客様が思っているより、広い施工範囲になる事が多いです。

みんなが意見を出しやすい雰囲気作りを大切にしています

瓦の下の「こだわり」の一つを紹介させて頂きました。

僕は「瓦屋」なので、屋根の事ばかりを考えていますが、お客様は、その他の工事、日々の生活や将来の事も考えなければいけないので、自分の考えばかりを押し付けるわけにはいきません。

そのためには「瓦を葺き替える」と言った作業の中でも、いくつも「工務店さん」や「施主さん」に判断を頂かなければならない事がたくさんあります。

「現場の意見」と併せて、一番良い方法を見つけていきたいですね!

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