先日より「瓦の葺き替え工事」を施工させて頂いていますが、屋根の下地が、時々見かける「地獄葺き」と呼んでいる仕様だったので紹介したいと思います。
「地獄葺き」の由来は僕には分りません。
本来、建築において「地獄」とは「取り返しがつかない」=「やり直しがきかない」といった意味で、柱を加工して組み合わせる「仕口」と言った部分や、建具の組み合わせ等で使われるそうです。
失敗したら、初めからやり直しという意味では確かに「地獄」ですね!
昔は「野地板」が高価で節約するために考え出された仕様だと勝手に思っています。
垂木の上に薄い板(6mm~9mm)を施工します。瓦の荷重を支える事はできません。薄い板は「天井」を兼ねている場合もあります。
その上に、瓦の荷重を支える「小舞」と呼んでいる部材を取り付けて瓦の重さを支えます。
小舞の上に瓦を緊結する「瓦桟」を取り付けて瓦を緊結しています。
下から「天井板(紫)」「薄い板」瓦を支える「小舞(オレンジ)」瓦を緊結してる「瓦桟(黄色)」が良く見えます。
この工法の弱点は、瓦を緊結する「銅線(赤色)」が、切れたり緩んだりした場合「小舞」から外れて、下地の落ち込みが発生しやすい事です。
軒先部分や屋根の左右の端部では「なまず」と呼んでいる部材を取り付けて、屋根を反らせています。
開口部分が大きいので「スズメの巣」がたくさんありました。
小舞の上から「野地板」を取り付けて屋根下地の完成となります。
以前に施工した案件で、瓦をはぐったら、野地板に「クボタ農機」のマークが刻印されていて、お客さんに尋ねたら、農機を購入した際に梱包してあった箱を解体して、流用したと言われた思い出があります。
今でも、材料を大切に保管されておられるお客様も多く、本当に物を大切にしておられると感じています。
僕達も、先人の苦労に感謝しないといけませんね!今回の作業は、そんなことを感じさせる案件でした。