お寺の作業も残りわずか。仕上げの作業も終わってきました。今回は「懸魚・げぎょ」等を中心に触れてみたいと思います。
といっても、知識不足だったので、調べてみました(笑)
「懸魚」とは、神社やお寺の破風板部分に取り付けられた妻飾りの事です。
文字通り「魚を懸ける」事で、水と関わりの深い魚を屋根に懸ける事により火災除けの意味に通じている事から、火に弱い木造の建物を火災から守るための「おまじない」として取り付けられました。
中国の雲南省にも、魚の形をした板を屋根に懸ける風習が残っており、これが火伏せの「おまじない」としての根拠になっているそうです。
中央にある6枚の葉で構成されている六角形の飾りを「六葉」と呼んでいて、中央から出ている棒を「樽の口」その根元にあるのを「菊座」と呼んでいます。
つまり「樽酒」の口を栓で止める形を表すことによって、水を注ぎ出すという、これもやはり、火伏せの「おまじない」として取り付けられています。
「樽の口」の裏側です。「懸魚」はいくつかのパーツを組み合わせて構成されています。
表面には艶出しの塗装が施されています。
本来は、神社仏閣や城のみに許された装飾ですが、後に、武家屋敷や庄屋クラスの民家にも許されるようになり、明治・大正期になると、各地にできた模擬洋風建築の小学校や、民家を手掛けた宮大工さんが、一般住宅にも取り入れるようになりました。
意外な所では、銭湯や古い温泉旅館の唐破風にも見られ、その場合は横に長い「唐破風懸魚」「兎毛通(うのけとおし)と呼んでいる仕様が多いそうです。
採用の理由は、極楽への入り口をイメージしたとの説があるそうです!
各パーツは、金具やビスで緊結されています。
足場を解体した後は見る事は出来ない風景なので、見入ってしまいました。
前述した「塗装」は、破風板にも施されています。
写真は、2023年7月16日付ブログで紹介した「隅追いかけ」です。
その際にも説明しましたが、取り付けには「漆喰」を使用します。既存の「漆喰」は、白華現象(2022年8月24日付ブログで紹介しています)による変色が見られるので「墨汁」を混ぜ込んで施工しました。
「漆喰」に、埃がつくと困るので、最終日まで仕上げを待ちました。
電気の引き込み線も取り付けられました。「母屋」の隙間も板金部材できれいにふさがりましたね!
「懸魚」には、深い意味があったことを改めて知りました。これからも、日々、勉強していきたいです!