今回、紹介させて頂いている「お寺」ですが「棟と鬼瓦」に「紋」を入れる事になり、打ち合わせと勉強のために製造元の福井市の「株式会社 廣部硬器」様に行ってきました。
「紋」だけでなく、官公庁などの「シンボルマーク」や子供の頃から慣れ親しんできた「校章」など、多岐に渡って手掛けておられます。
早速、見本を見せて頂きながら、細かな形状や緊結方法、穴の位置などを打ち合わせます。一通り終わり、工場を見学させて頂ける事になりました。
事務所のホワイトボードの、自社製品の「陶器製のマグネット」がオシャレです。焼き物は、ずっと色褪せない所が魅力ですね(笑)
瓦を初め、工業製品としての焼き物は、石膏で作られた「型」に「粘土」を流し込んで成形されます。
「型」に粘土を流し込む方法は「手で押し込む方法」と「鋳込み・いこみ」と呼ばれる「液体状にした粘土を流し込む方法」があり写真は「鋳込み」です
大きな「型」では「ウインチ」を使用しながら作業します。粘土を「型」から抜く作業は大変難しく「粘土がしっかり型から剥離しているか?」が重要だそうです。剥離が不十分な場合は、コンプレッサーで空気を送り込んで対応するそうですが、送りすぎると穴が空いてしまうそうで、難しい作業です。
小さな「型」で3時間程度、大きな「型」では6時間もかかる作業ですので、1日がかりですね!
裏面には途中で型崩れをしないように「支え」となる板状の成形が施されていました。製造の過程で「ボツ」になる事もあるそうで、写真の製品は、中央の円が表面に浮き出るのでボツだそうです。金を施すとよく分かるそうで、楕円などシンプルな形状が難しいそうです。
「型抜き」を終えると「磨き作業」に入ります。サンドペーパーを使い分けながら滑らかにしていきます。工場では、各工程を楽しそうに作業しておられました!
どの過程で「ボツ」になるかは分かりません…焼く前なら材料はリサイクルが可能ですが、製造にかかった時間や労力はリサイクルできないので、がっくりですね…。僕の目にはどこがダメなのか分からない部分もたくさんありました!
ところで、このマークどこかで見覚えがありますよ!?廣部硬器さんでは、警察署や自衛隊など、僕たちがよく目にする案件も日本一のシェアだそうです!
職人の世界は厳しいです!
磨かれた製品は、一度、透明な釉薬で窯入れされます。表面が、ガラス質に覆われ光沢が出ました!
「窯」は小さな「電気窯」と大きな「ガス窯」があり、大きさに合わせて使い分けます。結果が出るのは「電気窯」で2~3日「ガス窯」で5~6日後。窯入れ前には、手を合わせるそうです(笑)
透明な釉薬で焼成された後、マスキングを施されて、色が出る釉薬で2度目の窯入れを経て完成となるそうです!
製品はどれも、みんなの心の拠り所となる大切な物。責任の重さを考えると、拘りぬく理由が分かります。
福井県と言えば「フクイ」の名前を冠した種類も多くあるほど「恐竜」が有名です!写真は「磨き作業」ですが「バリ」があると子供たちが怪我をしてしまうかもしれませんよね!?一つ一つに優しさが込もっています。
廣部硬器さんでは、陶器だけでなく、セラミックや石材、木材など様々な素材を加工する技術をもっておられ、写真のようなエッチングを駆使した商品もあります!
「みんなの夢」を形にするマシンです。詳しくは「廣部硬器」さんのホームページでご覧いただけます。
僕が一番感動したのは、大きな商品では1つの受注で15個程度の製品を作成し、その中で一番出来の良い製品を出荷されるとの事で、そこまで仕上がりに拘っておられるのかと思うと、只々、感動しかありませんでした。
バトンを渡される私達も、製品を大切に扱い、想いに応える事が大事だと感じました。忙しい中、丁寧に説明して頂き本当に嬉しかったと共に、ますますこの仕事が好きになりました!