続・屋根の寸法出し
2022年7月4日付ブログ「屋根の寸法出し」で、屋根の寸法についてお話をさせて頂きましたが、中には寸法が合わせる事ができなかった屋根もあります。今日は、その事例を紹介したいと思います
下のような屋根を「縋る屋根・すがるやね」と呼んでいます。
リフォーム案件で、どうしても流れ寸法(水が流れる方向の寸法)の変更ができなかったので、軒先で調整させて頂きました。瓦の重なり寸法が大きくなるので、雨対策の観点からはGoodです。
写真のような「風切丸・下がり丸」という方法もあります。写真の案件では、右側と左側で、瓦の仕様(寸法)が違い、そのためにできた隙間を塞ぐ目的で採用させて頂きました。意匠目的で採用する場合もあり、旧家や神社仏閣等で見られ、左右の瓦は、冠瓦で抑えられるので、暴風対策の面で頑丈です。(風切丸の語源)神社仏閣などで見かける、桟瓦を冠瓦で抑えながら葺く葺き方を「本葺き」と呼んでいます。
一番ダメなのは、幅を伸ばして、瓦と瓦の重なりを少なくしたり、瓦の組み合わせを考慮しないで葺く事です!
幅の調整には、写真のような「幅調整瓦」も活躍します。3枚の内、一番上が「幅狭瓦」真ん中が通常のサイズの瓦、一番下が「幅広瓦」です。これらを使用しながら、きれいに瓦を葺いていきます。又、リフォーム案件等では、屋根で直角が取れていない場合があり、少し傾けて瓦を葺いていったり、瓦をグラインダーで加工しながら葺く場合もあります。加工した場合、写真の右下に見える、暴風対策のかみ合わせ部分が無くなってしまうので、僕はあまり好きではありません。
幅が狭いタイプの瓦を葺いた所です。すごく分かりにくいですが、左端から2列目と3列目が幅の狭い瓦を葺いた列になります。
「軒違い」と呼んでいる仕様で、適切な位置へ雨水を流すために「調整瓦」を使用して施工する事もあります。
屋根を見ると、施工した業者さんのスタンスが見えてきます。僕達も、他の業者さんに見られても恥ずかしくないようにしないとだめだなって思いました。