雨漏りの点検に伺った際には、瓦の「割れ」「ズレ」の他に「屋根の下地の点検」も重要です。
瓦葺き部分の点検では、写真のような「落ち込み」があり「勾配」が取れていない部分が無いか確認します。
瓦をはぐると「下地」と「瓦」の接地面が落ち込んでいて、じんわりと濡れています。
これは、瓦の上を流れる雨水が「逆水」を起こした事例です。
「逆水」については当ホームページの「サービス内容」→「雨漏り修理工事」→「下地の傷み 落ち込み」で紹介しています。
瓦葺きでは「下地」の上に、雨漏りのバックアップとして「下葺き」があり、機能している内は雨水が侵入してもすぐに、天井まで到達する事はありません。
瓦屋根は「瓦」+「勾配(水のキレ)」+「下葺き材」で、防水を確保しており、この場合では「勾配」と「下葺き」が、不十分になった事例です。
今回紹介している仕様は「のし葺き」と呼んでいる仕様でした。
右側の「小舞・こまい」と呼んでいる「下地」に、薄い木で出来た「下葺き(のし葺き)」が張ってあります。
瓦の荷重を支える接地面が「小舞と小舞の隙間」に来ると落ち込みが発生しやすくなります。
既存の「小舞」に「合板」を張った断面です。
この案件は「お寺」で、長い間、葺き替え工事のたびに「合板」を重ね続けて施工したようです。
「逆水」が発生しやすい箇所としては、瓦の上を流れる流量が大きい
・「軒先」に近い部分
・「谷部」の下、雨樋が壊れている部分
などが多く、立地的な要因もあります。
写真では「桟木」ごと落ち込んでいます。新しい案件の「下地」は隙間なく施工されていますので落ち込みは、ほぼ心配ありません。
雨水が侵入すると腐食が始まり、進行してしまう悪循環になってしまいます。
「逆水」は、大雨や暴風雨の際だけに発生する事が多く、対応を「後回し」にしてしまうお客様もおられます。しかし近年はゲリラ豪雨に代表される異常気象も頻発しており、様々な悪影響が考えられるので、早めの対応をお勧めしています!
瓦葺きの長所として
「下地と瓦本体との間に空間があり、自然な空気の流れがあり下地に優しい」
という事があげられますが、空気の流れを阻害するような施工は、逆効果になる事があります。
「落ち込み」による雨漏りを発見した際の応急的な対応としては
①「下葺き材」を瓦の重なり部分へ折り返して差し込む事により「逆水」を防ぐ
②後日、瓦の設置部分に「ベニヤ」を張ったりして「瓦に適切な勾配を取り戻す」
と言った内容となります。
屋根の点検は、瓦の「割れ」「ズレ」だけでなく、荷重を支える「下地」の点検も重要です。
やっぱり、屋根の点検は、実際に登って隅々まで自分の目で確かめないとダメですね(笑)