合端(あいば)

2024年3月1日

瓦職人の腕の見せ所に「合端(あいば)作業」があります。「合端」とは、瓦を加工して切り合わせる作業の事を指します。なんと、2022年3月19日~20日に、富山県で、全国の職人さんが腕を競う大会が行われるのですが、選手の皆さん、どんな「合端」をみせてくれるのか本当に楽しみです。

写真は「寄棟」と呼んでいる形状の屋根の鬼瓦付近です。棟の接続部分で「合端」が必要になります。鬼瓦の施工もあるので、工程がこの部分まで進むと、職人さんがドカッと居座って、黙々と仕上げる大変手間のかかる作業です。水平な棟を「大棟・おおむね」斜めの棟を「隅棟・すみむね」とよんでいますが「隅棟」が「大棟」の内部までしっかり組み込まれていないと、隙間ができ、雨漏りの原因になります。

正面からの写真で鬼瓦を「座鬼・ざおに(赤色)」と呼んでいます。座鬼下の「のし瓦」は「座布団(黄色)」と呼び、積み方は職人さんによって違い、個性が出やすく、この写真は「のし瓦」に隙間を設けた「すかし」と呼ばれる、弊社の最古参、本多さんの作品です。(座布団とは多分方言です)

こちらは、棟のメンテナンス工事で、弊社工事部長の二見さんが施工した「座布団」です。「座鬼」では、職人さんによってそれぞれ仕上がりが異なり、個性が出やすい所と言えます。

谷の芯と冠瓦の境目のラインをそろえるのが肝心です

こちらは「大棟」と「寄棟」の「合端」です。既存の瓦を再使用した、積み直し工事での施工例です。「棟部」が、人間の「肘」のように曲がっているので「肘棟・ひじむね」とも呼んでいます。

こちらは、渋谷さんが施工した「軒先瓦」と「袖瓦」の「合端」。端部の瓦は、周りからも良く見える部分ですので、妥協は許されません!

塀に特化した瓦で「カサヘイ」という商品です

こちらは、直江さんが施工した塀に使用する瓦の「合端」です。目線が近いので、失敗は即やり直しです。

こちらは、「下がり丸」と呼んでいる仕様で「冠瓦」の上に「みのこ鬼」と呼んでいる鬼瓦を取り付けます。「鬼瓦」の下の、冠瓦が合わさる「合掌」と呼んでいる部分で「合端」が必要です。

こちらの「軒先瓦」は、先に合端をしてから葺く「一文字瓦・いちもんじかわら」です。加工には、専用のマシンで、事前に「合端作業」をしてから、現場に搬入されます。欠けやすいので、取扱注意です。

瓦は「焼き物」なので、特有のねじれもあり、職人さん達は、屋根を美しく見せるために、毎日、全力で頑張っています!

屋根を見る時に、ぜひ、注目してみて下さい!